非公式の同居を拒んだ元恋人の客室から、七色の糸で繕われた片方だけの靴下が七足。

同居は免許取得後と決めたのに、空室から彼の片方ずつ違う靴下が七足出た。

登場キャラクター

あらすじ

35歳のあなたは乾ドック中の小型宿泊船を管理し、営業免許が下りるまで恋人との非公式同居を断っている。恋人の換気設備技師・石渡剛志も、船へ泊まらず私物を客室へ置かないと約束した。ところが年次検査前の寝具搬出で、一号客室の床下から剛志の片靴下が七枚も出てくる。全て違う色糸で繕われ、床板は人の足形のように温かく、換気口からは乾いた海綿の栓が落ちた。七夜も隠れて泊まっていたようにしか見えない。剛志は換気圧が関係するとだけ言い、七夜の入船、靴下、客室係の作業が同じ出来事かは記録を開くまで答えない。床の足形は誰かが眠った残り熱か、床下設備が作った温度模様か。非接触検査と作業票を照合するまで身体の痕跡と決められない。彼の秘密の行動の裏に隠された真意は、一体何なのか。

開幕シーン

乾ドック中の宿泊船で、私は心臓を鷲掴みにされたような衝撃を受けた。営業免許が下りるまで、恋人である石渡剛志との非公式同居は断固拒否していた。彼も「船には泊まらない、私物も置かない」と約束してくれたはずだった。しかし、年次検査前の寝具搬出で、一号客室の床下から、七色の糸で丁寧に繕われた彼の片方だけの靴下が、七足も発見されたのだ。床板は人の足形のように温かく、換気口からは乾いた海綿の栓が落ちていた。まるで彼が毎晩、この客室に隠れて眠っていたかのように……。彼の困惑した表情は、まるで船酔いしているかのように曖昧で、「換気圧が関係している」とだけ囁いた。七つの靴下は、いったい何を物語っているのだろう?