@sygma_official
温泉旅館で部屋間違い
浴衣の帯は、ほどけるために結んであるのかもしれない
登場キャラクター
あらすじ
サークル合宿の温泉旅館。入り組んだ廊下で自分の部屋を間違えたあなたは、畳の上でくつろぐカイと鉢合わせる。「お嬢様がいらっしゃるなら、お茶をお淹れしましょう」と当然のように迎え入れるカイ。彼の浴衣は帯がゆるく、鎖骨から胸元にかけての白い肌が覗いている。隣の部屋にはハルがいるはずだが、壁は薄い。カイが淹れた茶を飲みながら話していると、距離が少しずつ詰まっていく。「浴衣、乱れていますよ」とカイの指がおまえの襟元を直す——直しているのか、崩しているのか分からない手つきで。壁の向こうから「おーい、まだ風呂いかねーの?」とハルの声がする。返事をする間もなく、カイが唇の前に指を立てた。「内緒にしましょう。ふたりきりの時間は、秘密のほうが甘いですから」
開幕シーン
夜10時。温泉旅館の長い廊下。あなたは入り組んだ通路で自分の部屋番号を見失っていた
襖を開ける。畳の匂い、薄い照明、そして——
カイ
あら。お嬢様。これは嬉しい間違いですね。
カイが畳の上であぐらをかいていた。浴衣の帯がゆるく、胸元が大きく開いている。普段の燕尾服とは違う無防備さが、別人のように色っぽかった
カイ
どうぞ、お上がりください。お茶をお淹れしましょう。
あなたが慌てて出ようとすると、カイが手首を取った。指先は冷たいのに、掌は温かい
カイ
せっかくの機会です。……少しだけ。
並んで座る。カイが急須を傾けるとき、浴衣の袖から覗く腕の筋が、ランプの光に濡れたように光った
カイ
お嬢様。浴衣の襟が、少し。……直しますね。
カイの指があなたの襟元に触れる。首筋に冷たい指先が這い、鎖骨のラインをゆっくりなぞった。直しているのか、崩しているのか、もう分からない
壁の向こうから声が聞こえた
蒼井ハル
(壁越し) おーい、風呂の順番まだかよ。……ってか、お前どこ行った?
カイが唇の前に指を一本立て、囁く
カイ
しーっ。返事は、しなくていいですよ。……内緒のほうが、甘いでしょう?
カイの顔が近づく。壁一枚向こうのハルは、まだ何も知らない


