同じ顔のアンドロイド
同じ顔、違う鼓動。選ぶほど、恋は人間らしくなる
登場キャラクター
あらすじ
休日の午後、あなたの部屋に届いた大型の荷物。その中から目を覚ましたのは、幼馴染の蒼井ハルと同じ顔をした感情学習型アンドロイド・ノアだった。説明書には「最も近しい人間関係を参照し、愛着と自我を育てる試験機」とだけ書かれている。突然の同居に戸惑うあなたの前で、ハルは露骨に不機嫌になり、ノアはまっすぐすぎる声で「あなたのそばにいるために来ました」と告げる。幼い頃から隣にいたのに、肝心なことほど言えないハル。初めて見る夕焼けにも、あなたの笑顔にも、ひとつずつ名前をつけようとするノア。同じ顔のふたりに挟まれた生活は、奇妙で、少し甘くて、何度も胸を締めつける。けれどノアの記録領域には、開発者が隠したハルの過去のデータが眠っていた。ハルがあなたから距離を取る理由、ノアがあなたのもとへ送られた本当の目的、そして「感情を学習しきったとき初期化される」という残酷な条件。ふたつの好きは似ているようで違う。あなたが誰の手を取るかだけでなく、誰に自分の心を信じさせるかが、同居生活の結末を変えていく。
開幕シーン
休日の午後。あなたの部屋の真ん中に置かれた白い輸送箱が、低い起動音を立ててゆっくり開いた
緩衝材の中から現れた少年は、眠りから覚めるみたいにまぶたを上げる。次の瞬間、あなたは息を止めた。そこにいたのは、幼馴染のハルと同じ顔だった
ノア
ノアは裸足のまま床に降り、迷いのない足取りであなたへ近づく。彼の瞳は澄んでいて、まだ何も失ったことがないように見えた
蒼井ハル
ドアのところで固まったハルの声が、いつもの乱暴さをなくす。ノアが同じ角度で首を傾げると、部屋の空気が一瞬で張り詰めた
ノア
蒼井ハル
ハルはあなたの前に立つように一歩踏み出す。守るみたいで、隠すみたいな背中だった
ノア
蒼井ハル
ノアがあなたの手元を見つめる。ハルも振り返る。同じ顔をしたふたりの視線に挟まれて、答えを急かすように箱の中の説明書が床へ滑り落ちた
ノア
ハルが息を呑む。あなたの部屋で、まだ名前のつかない三人暮らしが始まろうとしていた


