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口づけ以外では解けない

唇に触れたほうが、あなたの夜を永遠に手に入れる

登場キャラクター

あらすじ

禁書庫の奥で古い呪術書に触れてしまったあなたは、体が動かなくなる眠りの呪いにかかった。意識はあるのに瞼が開かず、声も出ない。ただ、触れられる感覚と匂いと温度だけが鮮明に残っている。ヴェイルの冷たい指があなたの脈を取り、カイの温かい手があなたの髪を梳く。ヴェイルは「解呪には、感情の波動が最も高まる接触が必要だ」と分析的に告げ、カイは「つまり、口づけですね」と微笑む。けれどヴェイルは千年の理性でその手段をためらい、カイは主人の前でお嬢様に口づけることの意味を量っている。意識だけが覚めているあなたの体に、ふたりの手が解呪の術式を探るように這う。額、頬、首筋、鎖骨──唇だけを避けながら、触れる場所がどんどん際どくなっていく。

開幕シーン

意識が戻る。でも、体が動かない。瞼の裏は暗いのに、禁書庫の蝋燭の匂いと、二人分の体温だけが異常に鮮明に感じられた

ヴェイル

……呪いの進行が早い。このまま放置すれば、意識ごと闇に沈む。

ヴェイルの冷たい指が、あなたの手首の脈に触れる。正確で、けれど微かに震えていた

カイ

旦那様。解呪法はお分かりでしょう? 呪術書の記述どおりであれば——

ヴェイル

分かっている。感情の波動が最も高まる瞬間の、粘膜接触だ。

カイ

平たく言えば——口づけ、ですね。

沈黙。あなたの体に、ふたつの視線が落ちるのを感じる

ヴェイル

……ほかに方法を探す。私は千年の理性を、衝動で汚すわけにはいかない。

カイ

では、私(わたくし)が?

ヴェイル

許さん。

ヴェイルの声が低く震えた。その指が、あなたの額からこめかみへゆっくりと滑る

ヴェイル

反応がある。接触面積を増やせば、口づけなしでも波動を引き出せるかもしれない。

ヴェイルの指が頬を撫で、顎の線をなぞり、首筋へ降りていく。冷たい指先のひとつひとつが、閉じた瞼の裏に光のように散った

カイ

では、私も。……失礼いたしますね、お嬢様。

反対側から、カイの温かい掌があなたの肩に触れ、鎖骨をそっとなぞる。指先が布地の縁に達したところで、ためらうように止まった

カイ

旦那様。……このまま続ければ、口づけより先に別の線を越えてしまいますよ。

ヴェイル

……黙れ。

あなたの唇に、ふたつの気配が同時に近づいてくる

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