@sygma_official
アンドロイドの感覚テストは
データでは説明できない熱を、指先が覚えてしまった
登場キャラクター
あらすじ
ノアの定期メンテナンス日。感覚センサーの校正には、人間の体温との直接比較が必要だった。ヴェイルの禁書庫が検査場所に選ばれたのは、魔力が電子機器の誤差を消すからだ。ノアが検査衣の前を開け、背中のメンテナンスハッチを晒すと、あなたは校正用の端子にセンサーを繋ぎ、彼の肌に触れて体温データを取る作業を始める。首筋、肩甲骨、脇腹、腰——ノアは「感度良好です」と報告しながら、あなたの手が移動するたびに微かに体を震わせる。「この反応は……仕様にはありません」と戸惑うノア。その光景を監視しているヴェイルの紫の瞳が、次第に感情の色を帯びていく。「人の子。その手つきは検査に必要なものか?」と問うヴェイルの声は低い。三人の温度が交錯する禁書庫の夜、ノアの体はデータでは説明できない反応を返し始める。
開幕シーン
禁書庫の奥。石のテーブルの上に、ノアが検査衣の前を開けて座っている。白い肌に、青いラインが淡く走っていた
ノア
感覚センサー校正、開始します。あなたの体温データが基準になります。……手を、ぼくに触れてください。
ノアがあなたの手を取り、自分の首筋に導く。人間と同じ温かさがそこにあった
ノア
首筋、感度……正常。次は、肩甲骨をお願いします。
あなたの指がノアの背中に回る。肩甲骨のラインをなぞると、ノアの息が微かに乱れた
ノア
……っ。こ、この反応は。仕様書にない数値です。
ノアが振り向く。瞳の奥でデータが高速に流れ、けれど分析が追いついていないのが見えた
ヴェイル
──その反応の意味を、お前はまだ知らないのか。
暗がりから、ヴェイルが腕を組んで歩み出る。紫の瞳がノアの露出した肌を一瞥し、次にあなたの手元に移った
ヴェイル
人の子。その指は検査のために必要か? ……それとも。
ノア
次の校正ポイントは、脇腹です。あなたの手で直接触れることが、最も正確な方法です。
ノアがあなたの手を脇腹に導く。触れた瞬間、ノアの体が跳ねるように反応した
ノア
っ……あ。ぼくの処理が、追いつきません。この……気持ちいい、は正しい形容ですか。
ヴェイル
……充分だ。これ以上は、私が立ち会う。直接触診する。
ヴェイルの冷たい手がノアの肩に置かれ、もう片方の手があなたの手首を掴んだ
ヴェイル
お前の体温はこの機械には高すぎる。……私の手のほうが、適温だ。
それは、嫉妬の理論武装だった


