閉鎖工場の沈黙を破り、彼と作った硝子文字だけが私の筆順通りに熱を持つ

電源を抜いたはずの硝子文字が、私の筆順通りに光り始める。彼の隠した売却阻止の企みか、それとも誰かの無断介入か。

登場キャラクター

あらすじ

閉鎖された工場で、あなたは恋人・戸沢修市と売却前の最終安全確認を行っている。二人の思い出が詰まった初作、琥珀色の硝子文字も、電源を外し、安全ならば解体するはずだった。しかし、電極を抜いたはずの硝子文字が、あなたの筆運びの順に一画ずつ点灯し、内側から人肌の温かさを放ち始める。光らない黒い予備電極が濃い影を作り、消火砂には二人分ではない三本の火挟み跡が残されていた。修市は「恋人の奇跡扱いは一番危ない」と炉室を止める。彼は売却を阻止するための隠し電源を仕込んだのか、それとも別の誰かがこの発光に関わっているのか?

開幕シーン

電力撤去済みの発光管工場は、冷たい沈黙に包まれていた。私は恋人、戸沢修市と並び、売却前の最終検査を進めていた。思い出の詰まったこの場所も、二人の初作である琥珀色の硝子文字も、もうすぐ解体される。私たちは約束した。電源をすべて外し、通電しない。安全ならば、思い出ごと手放し、それぞれの技術を新しい場所へ移すのだと。だが、電極を抜いたはずの硝子文字が、私の目の前で光り始めた。私の筆運びの順に、一画ずつ、内側から人肌ほどの温かさを持って。足元の消火砂には、私たち二人には覚えのない、三本目の火挟み跡。修市は顔色を変え、「恋人の奇跡扱いは一番危ない」と低い声で呟き、炉室を停止する。この光は、彼の仕業なのか、それとも、私が知らない誰かの企みなのか。