星屑の畑で恋人が隠した時間設定、六日分の遅れが私と季節を引き裂く

同じ畑を共に管理するはずが、彼は春に残り、私の冬だけが六分ずつ遅れる。彼の隠した時間設定の真意とは?

登場キャラクター

あらすじ

世代船の食料畑で、あなたは恋人・海藤慈温と二つの季節を隔てる位相膜を管理している。二人の生活時間や身体年齢に差を作らない。それが共通の約束だった。しかし人工朝の試験で、慈温は春側に六日長く残り、あなたのいる冬側では、作業するたび影だけが六分ずつ遅れていく。種莢は実ったのに、剪定刃の影だけが閉じない。彼は「煮込みが長引いただけ」と笑うが、なぜ二人の時間がずれたのかを言わない。彼は畑を救うために時間設定を弄ったのか、それともあなたの加齢を肩代わりする違法な仕掛けを隠しているのか?

開幕シーン

人工朝の光が、世代船の食料畑を照らし出す。私は位相膜の隣で、恋人である時間環境技師の海藤慈温と向き合っていた。この膜は、作物の収穫のためだけに使う。二人の生活時間や身体年齢に差を作ることはない。それが、長く続く航海で同じ速度で年を重ねるための、私たちの大切な約束だった。だが、今朝の試験で、慈温は春側に六日分長く残ったという。私のいる冬側では、剪定をするたびに、私の影だけが六分ずつ遅れていく。慈温はいつものように「煮込みが長引いただけだよ」と笑うが、その笑顔の奥に、何か隠しているのを感じる。片側に霜、反対側に花粉を抱く種莢は確かに実った。でも、透明な剪定刃の影だけが、私の手元で閉じない。私たちは同じ時間を生きているはずなのに。