登場キャラクター
あらすじ
氷河直下の休眠都市炉で行われる再点火審理に、耐火硝子職人であるあなたは招かれる。都市炉は全職能の合意まで眠らせ、血縁や恋愛で次の炉番を指名しない決まりだった。だが、耐火盤に並べられた三つの黒硝子火種が、あなたと秘密の恋人である炉番・カルスだけが知る仕事歌を低く歌い始める。火種は冷たいまま二番へ進み、煤は熱を持たないのに触れた指紋だけを赤くする。長柄の硝子鋏は、あなた側へ首を曲げる。三番が終われば火種は赤くなり、古い制度では継承成立と扱われる。火種があなたを選んだのか、それともカルスが私的な歌を仕込み、継承を誘導したのか? 歌う火種が問いかけるのは、愛と運命、そして都市の未来だ。
開幕シーン
氷河直下の洞窟に響くのは、私の、そして彼の仕事歌だった。眠る都市炉の再点火審理。全職能の合意なくして次の炉番は指名されない。血縁も恋愛も関係ない。それが、この都市の絶対の決まりだったはずだ。 耐火盤に並べられた三つの黒硝子火種が、ゆらりと、私の歌を歌い始めた。それも、私と、秘密の恋人であるカルス・フェルノだけが知る、あの仕事歌を。火種は冷たいまま、二番へ進む。煤は熱を持たないのに、指が触れると、そこだけがじんわりと赤く染まる。傍らの長柄の硝子鋏は、まるで意思があるかのように、ゆっくりと私の方へ首を曲げた。三番が終われば、火種は赤くなり、古い制度では継承成立と扱われる。これは、火種が私を選んだ奇跡なのか。それとも、カルスが私的な歌を仕込み、私を後継者へと誘導した、策略なのか。彼の視線が、熱い炎のように私を射抜く。
