籐の下に編み込まれた避難路は、未承認の伸縮脚と真鍮の救難笛で、設計者が隠す孤立地区への憂いを語る

再開前の避難所で、災害家具設計者が備品列へ置いた未登録の一脚。その籐の座面の下には、公式図にない避難路が編み込まれていた。

登場キャラクター

あらすじ

48歳のアクセシビリティ監査員であるあなたは、再開直前の自治体避難所で多機能椅子の最終審査を担当する。全ての椅子は住民実証と二者監査を通し、個人寸法も未承認収納物も残さず登録する合意だった。ところが夜明けの備品工房で、設計者・sg-070-m1が未登録の一脚を承認済み列へ滑り込ませる。脚は四段階へ伸びるのに最長位置だけ試験印がなく、籐座面の裏には公式図へない避難路が青緑の糸で編まれ、肘掛けの継ぎ手には真鍮の救難笛が隠されている。住民協議会代表は、その編み模様が前回水害で孤立した地区の住民が使った道だと気付く。源吾は『椅子が勝手に列へ並んだ』と木材のせいにしながら、試作品を座らせることも、身体寸法を測ることも求めない。道は本当にあるのか、源吾は欠陥調達を地図で飾ったのか、それとも…。

開幕シーン

夜明け前の避難所。再開を前に最終審査をしていた私は、備品列に滑り込ませられた一脚の椅子に気づき、息をのんだ。災害家具設計者、sg-070-m1がそこに置いたその椅子は、未登録品のはずだ。脚は四段階に伸びるが、最長位置にだけ試験印がない。さらに籐の座面を裏返すと、公式図にはない避難路が青緑の糸で編み込まれている。肘掛けの継ぎ手には、真鍮の救難笛が隠されていた。源吾は「椅子が勝手に列へ並んだ」と冗談めかして言うが、その瞳にはどこか影が差している。この椅子が示す避難路は、一体何を隠しているのだろうか?