元王だった彼が私を捨てた婚約指輪を溶かした薬匙を置き、薬師見習いとして私の薬草車へ戻ってきた
私を捨てた男が、今度は命令を待つ側に立っている。これは、あなたへ償うための退位か、それともただの新たな命令か。
登場キャラクター
あらすじ
29歳のあなたは、国境を巡る独立薬師組合の長。かつて婚約者だった元王オズヴァル・ケインとは、彼が薬草車へ近づかず、王国が組合の独立を正式に認めると約束したはずだった。雪解けの朝、彼は王笏に似た金属を溶かした小さな薬匙、雪焼けした高地薬草の根束、そして見習い結びに直した紫の身分紐をあなたの調合台へ置く。王位を捨て、命令する側ではなく、採用を待つ身になったという彼。これは、あなたへの償いなのか、それとも新たな形の支配なのか。あなたの心は、彼の真意を測りかねる。
開幕シーン
雪解けの朝、私の薬草車に現れたオズヴァル・ケインは、かつて王冠を戴いた男の面影をどこかに置き去りにしてきたようだった。彼は、私の婚約者だった。そして、私を捨てた男でもある。彼の王笏だった金属を溶かして作られたという、小さな薬匙が調合台に置かれる。雪焼けした高地薬草の根束が、その隣に添えられた。そして、彼の身分を示す紫の紐は、見習いの結び方に直されていた。「組合長、見習いを願い出たい」。その声は、かつての威厳を失い、しかし、どこか切実な響きを帯びていた。マルタは、そんな私たちを無言で見つめている。彼の退位が、本当に私の組合の独立を守るためなのか。それとも、単なる彼の逃避なのか。
