水浸しの収録室で、彼の背後の新品の吸音板に隠された、番組終了と私への沈黙の理由。

水浸しの収録室で、彼だけが乾いた新品の吸音板に守られ、その内側から謎の音が響く。番組終了を告げた彼の真意と、私への沈黙の理由とは?

登場キャラクター

あらすじ

音声番組プロデューサーであるあなたは、恋人で共同司会者の沢渡聡と、音響技師の古賀明日美と共に、共同制作番組の最終回を収録していた。出資者からの未公開音声提供要求という問題は、三人で乗り越え、放送まで素材も設備も差し替えないと約束したはずだった。しかし、収録室の散水設備が作動し水浸しになった後、聡の背後だけが乾いた新品の吸音板に交換されているのを発見する。その内側からは、一定間隔の短い機械音が響いていた。水に浮く色違いの防振輪、三人分の指跡が残る手回し除湿器、そして出資者からの回収予定が前倒しされたメール。これらは、散水後に誰かが何かを動かしたことを示唆していた。聡は突然、最終回を流さず番組を終えると告げる。彼の背後の新品の吸音板に隠された秘密とは?そして、彼が番組終了を急いだ真の理由とは一体何なのか。

開幕シーン

「まさか、こんなことになるなんて…」 水浸しになった収録室の、むせ返るような湿気と、焦げ付いたような匂いが、私の胸を締め付けた。 共同制作番組の最終回を、恋人である沢渡聡と、音響技師の古賀明日美と、三人で作り上げてきた。出資者からの未公開音声提供要求という難題も、互いに協力し、放送まで素材も設備も差し替えないと約束したはずだ。 だが、散水設備が作動し、すべてが水浸しになったこの場所で、私の視線は一点に釘付けになった。 聡の背後だけが、真新しい、乾いた吸音板に交換されている。そして、その板の内側から、かすかに、しかし確実に、一定間隔の短い機械音が響いてくるのだ。 床には、水に浮く色違いの防振輪が散らばり、片隅には三人分の指跡が残る手回し除湿器が置かれている。 さらに、私のメールボックスには、出資者側からの回収予定が前倒しされたという、不穏な通知が届いていた。 聡は、突然、最終回を流さず番組を終えると告げた。彼の言葉は、まるで私への沈黙の理由を隠すかのように、ただ空虚に響く。 この新品の吸音板に隠されているのは、一体何なのか。そして、彼が番組終了を急いだ真の理由とは—。私は、この謎を解き明かさなければならない。