別々の道へ進むはずの衣装箱を、彼は共同部屋のカーテンリボンで結び、過去の傷跡を問いかけた

千秋楽後、別々の劇団へ移るはずだった。なのに、彼の衣装箱と私の箱が、昔の共同部屋のカーテンリボンで結ばれている。これは引き留め?それとも…?

登場キャラクター

あらすじ

舞台衣装カッターとして巡回劇団で働くあなたは、千秋楽を迎え、別の劇団へと移籍する。元恋人の颯真もまた、別の巡回先へと向かうため、二人の私物はそれぞれの衣装箱に分けて送られるはずだった。それが、衣装倉庫管理人を交えた約束だった。しかし、終演後の衣装カルーセルで、二つの箱が、昔の共同部屋から消えた深紅のカーテンリボンで結ばれているのを発見する。箱の車輪には、行き先の異なる二路線の印が重なり、あなたの白手袋は、かつてあなたがつけた鋏傷を避けるように、別色の糸で縫い直されていた。颯真はリボンを見た瞬間、新しい送り札を隠した。これは彼の未練か、それとも新たな共存の提案なのか。あなたは、この予期せぬ状況にどう向き合うのか—。

開幕シーン

背中から感じる熱気が、千秋楽の興奮を物語っていた。舞台衣装カッターとしての私の仕事も、今日で終わり。明日からは、新しい一座での日々が始まる。元恋人の川瀬颯真も、別の巡回先へ向かう。だから、私達の衣装箱は、私物を混ぜることなく、別々に送られるはずだった。 それが、衣装倉庫の管理人、大庭喜久子を交えて交わした、確かな約束だった。 だが、衣装カルーセルに流れてきた二つの箱を目にした瞬間、私の心臓が凍り付いた。 彼の大きな衣装箱と、私の小さな箱が、深紅のカーテンリボンで一つに結ばれている。 それは、かつて私達が共同生活を送った部屋から姿を消した、あのリボンだった。 片端だけ日焼けした、見覚えのある深紅の布切れ。 箱の車輪には、行き先の異なる二路線の巡回印が、まるで運命のように重なっている。 そして、私の白手袋。数年前、私が誤ってつけてしまった鋏傷が、別色の糸で丁寧に縫い直されていた。 颯真は、リボンを見た途端、手に持っていた新しい送り札を、まるで何かを隠すかのように背中に回した。 喜久子さんは「二人を同じ一座へ戻す印ではない」とだけ言い、誰が箱を束ねたのかを明確にしない。 これは、彼からの未練のメッセージなのか?それとも、私に何かを伝えようとしているのか? 千秋楽の興奮は、一瞬にして、未解の謎へと変わった。