登場キャラクター
あらすじ
30歳のあなたは昇降設備安全検査員。半年前、貨物用昇降機の締結作業で左腕を負傷した整備士・越智亮真とは、事故の後に婚約を解いた。それでも二人は、彼が現場へ戻る日には痛みも可動域も隠さず、あなたと安全確認を終えてから点検坑へ降りると約束した。復帰初日の始業前、高層複合施設の停止中の昇降機から工具音がする。坑内にいた亮真の作業着は左袖だけ三センチ短く縫われ、可動域測定テープは未開封のまま。彼は『作業じゃない、停止を守りに来た』と笑うが、左手首をかばる時の靴音が二度響く。半年前の事故報告と現在のレンチは同じ欠陥を示すのか、誰かが原因を整備士個人へ寄せたのか。あなたは作業を止め、亮真の左腕の状態と入坑経路を本人へ問える。現場復帰、事故原因の訂正、二人の関係を分け、安全を守るための単独行動が本当に保全だったのかを問う職業ドラマ。次回は、誰の立会いで何を検査するかもあなたが選べる。
開幕シーン
「まさか、点検坑の中から工具音がするなんて」 停止中の高層複合施設、昇降機前であなたは息を飲んだ。耳に届くのは、聞き慣れたラチェットレンチの音。それは半年前、左腕を負傷し婚約を解消した元婚約者、越智亮真がよく使う工具の音色だった。 約束はただ一つ。 彼が現場復帰する日は、痛みも可動域も隠さず、二人で安全確認を終えてから点検坑へ降りること。 しかし、今、彼は一人でそこにいる。シャッターが開き、現れた亮真の作業着の左袖は、あからさまに短く縫い直されていた。 三センチほどだろうか。 彼が腕を上げるたび、未開封の可動域測定テープがポケットから覗く。 「作業じゃない、停止を守りに来たんだ」 亮真は笑ったが、左手首をかばうたびに、安全靴の爪先がコツンと二度、床を叩く。 それは彼が隠し事をしている時の癖だった。
