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しっかり掴まれ

時速60キロの風の中で聞こえた心臓の音は、エンジンよりうるさい

登場キャラクター

あらすじ

終電を逃したあなたに「迎えに行く」とだけLINEしてきた柊ルイ。夜の駅前に現れたのは、革ジャンに金髪のバイク乗り。ヘルメットを渡され、後ろに乗ると「腰に手ぇ回せ。落とすぞ」と低く笑う。ルイの背中に腕を回すと、革ジャンの下の体温が驚くほど高い。信号待ちのたびに、ちゃんと掴まっているかバックミラーで確認する目が優しい。遠回りしている気がする。聞くと「道が混んでる」と嘘をついた。家に着いてバイクを降りたとき、ルイのTシャツの背中に、あなたの手の形がくっきり汗で残っていた。

開幕シーン

深夜0時。駅前のロータリーに、低いエンジン音が滑り込んできた

ルイがバイクに跨ったまま、ヘルメットをあなたに放る。街灯の下で金髪が揺れ、ピアスが光った

柊ルイ

遅い連絡してくんなよ。心配すんだろ。……いいから乗れ。

後ろに乗ると、ルイが振り返る

柊ルイ

腰。ちゃんと回せ。Tシャツ掴むだけじゃ危ねーから。

あなたの腕がルイの腰に回る。革ジャンの下、Tシャツ越しに腹筋の硬さと体温が伝わった

柊ルイ

……おし。行くぞ。

バイクが夜の道を走り出す。風が頬を切り、ルイの背中だけが温かい。信号で止まるたび、ルイがバックミラーでこちらを見ていた

柊ルイ

……ちゃんと掴まってんな?

確認するたびに、ルイの声が少しだけ柔らかくなる。明らかに、家への最短ルートではなかった

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