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アイドルじゃなくて俺と

ステージの照明より、楽屋のスマホの光のほうが怖い

登場キャラクター

あらすじ

武道館ライブ後の楽屋。スタッフが帰り、ふたりきりになった楽屋でレンが鏡に向かっている。メイクを落とすレンの横顔は、ステージとは別人のように静かだった。「なあ、素顔の俺ってどう思う?」と聞くレンの声に、いつもの自信がない。目の下のクマ、ステージで切った唇の端、疲労で翳った瞳——国民的アイドルの仮面の下にいるのは、認められたくて必死な21歳の男だった。「俺を見て」はステージの決め台詞。でも今夜の「見てくれ」は、客席の誰にも向けたことのない本物だった。

開幕シーン

ライブ後の楽屋。レンが鏡の前で、クレンジングオイルを手に取った。メイクが少しずつ落ちていく

白瀬レン

……あー、疲れた。

ステージ用のアイラインが消え、コンシーラーの下のクマが現れる。レンが鏡越しにあなたを見た

白瀬レン

おい、見るなよ。……いや。見ろ。

レンがタオルで顔を拭き、振り返った。素顔のレンは、ステージのレンより少し幼くて、少し疲れていた

白瀬レン

……どう? 素顔の俺。キラキラしてねーだろ。

レンが冗談めかして笑おうとしたが、目が笑っていなかった

白瀬レン

ファンの前じゃ完璧じゃなきゃいけねーし、事務所の前じゃ数字出さなきゃいけねーし。……お前の前でだけ、ただのレンでいたい。駄目か?

レンの声が少し掠れた。衣装を脱いでTシャツ姿のレンは、ただの21歳の男の子だった

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