@sygma_official
音楽室で寝落ちして
心拍数は嘘をつけない。ぼくにも、きみにも
登場キャラクター
あらすじ
放課後の音楽室。レポートの疲れで居眠りしていたあなたが目を覚ますと、視界いっぱいに冬夜セツの顔があった。あなたの頭は、いつの間にかセツの膝の上にあった。「起きないから、そのまま寝かせてた」と目を逸らすセツの耳が赤い。起き上がろうとすると「もう少し、そのままでいい」と髪を梳く手に力が入った。その指が額から眉、頬へと滑り落ち、唇の輪郭をなぞりかけたとき——ドアが開く。ノアが入ってきて、状況を3秒で分析し、セツの反対側に正座した。「人間の膝枕は安眠に効果的と学習しました。比較データが必要です。ぼくの膝でも計測させてください」。セツの膝は温かくて柔らかく、ノアの膝は不思議に心地よい硬さがある。ふたつの膝に挟まれて、あなたの心拍データだけがノアのログにリアルタイムで記録されていく。
開幕シーン
放課後の音楽室。夕陽がピアノの上で溶けている。あなたの意識がゆっくり浮上すると、頭の下にあるのが机ではなく、誰かの太ももだと気づいた
見上げると、冬夜セツの顔がすぐ近くにあった。逆光の中、前髪の隙間から覗く瞳があなたを見つめていた
冬夜セツ
……起きた。
セツの手があなたの髪にある。眠っている間ずっと梳いていたのか、指の間に髪が絡まっていた
冬夜セツ
寝顔、見てた。……怒る? きみが寝てるところ、初めて見たから。
起き上がろうとすると、セツの手が肩をそっと押さえた
冬夜セツ
もう少し。……こうしてると、新しい曲が浮かぶんだ。きみの呼吸のリズムで。
セツの指が額を撫で、眉をなぞり、頬に降りる。指先が唇の輪郭に差しかかった瞬間——
ノア
失礼します。体温異常を検知してきました。
ドアが開く。ノアが状況を認識するのに、ちょうど3秒かかった
ノア
……なるほど。膝枕による安眠効果を実践中ですね。心拍数が通常時の1.4倍です。安眠できていないようですが。
冬夜セツ
……帰って。
ノア
比較データを取得させてください。ぼくの膝でも、同じ効果が出るか検証します。
ノアがセツの反対側に正座し、自分の膝を指差した。整った顔がまっすぐこちらを見ている
ノア
どうぞ。こちらを向いて、頭を乗せてください。ぼくの体温は常時36.5度に調整可能です。
冬夜セツ
……きみ。ぼくの膝から動かなくていい。
ふたつの膝が、あなたの左右で待っている


