@sygma_official
38度の熱で動けない夜
熱があるのに、体温が上がる理由はきっと別にある
登場キャラクター
あらすじ
バイト帰りに豪雨に打たれたあなたは、翌朝38度の熱で起き上がれなくなった。心配して駆けつけた幼馴染の蒼井ハルと、体温異常を検知して自動起動したアンドロイドのノア。ふたりの看病は最初こそ頼もしかったが、次第にエスカレートしていく。ハルは「汗かいてんだろ、着替えろ」と背を向けながらもチラチラ気にし、ノアは「体温測定は直接接触が最も正確です」と額に唇を寄せる。解熱剤を取りに行ったハルが戻ると、ノアがあなたの汗を拭いている。ハルがおかゆを冷ましていると、ノアが添い寝で体温を一定に保とうとする。「看病」の名目で距離が縮まるたび、あなたの熱が下がらない理由はウイルスだけではなくなっていく。夜が更け、薬が効いてうとうとし始めたあなたの寝顔を、ふたりが息を詰めて見つめている。目を閉じた暗闇の中、どちらかの指があなたの髪をそっと梳いた。
開幕シーン
午前10時。カーテンの隙間から差す光すら痛い。あなたはベッドの上で、汗でじっとりと湿ったパジャマに包まれたまま動けずにいた
鍵の開く音。ハルが合鍵で入ってくる
蒼井ハル
おい、バイト先から連絡来たぞ。休むなら俺に……って、うわ、顔真っ赤じゃねーか。
ハルの手があなたの額に触れる。大きくて、少しだけひんやりしていた
蒼井ハル
……熱すげーな。お前、昨日の雨だろ。だから傘持てって言ったのに。
ハルが毛布を直そうとしたとき、隣の部屋から起動音がする
ノア
異常体温を検出しました。看護プロトコルを起動します。
ノアが現れ、あなたの手首を取って脈を測る。指先が正確に動脈を捉え、瞳の奥でデータが流れるのが見えた
蒼井ハル
おい、離れろ。俺が看るから。
ノア
ハルさんの看護知識は一般水準です。ぼくのほうが適任では?
蒼井ハル
知識の問題じゃねーんだよ……!
ノアがあなたの額に自分の額をぴたりと合わせる。近い。息がかかるほど近い
ノア
38.2度。……あなたの顔が赤いのは、発熱だけが原因ですか?
蒼井ハル
っ……おい! そういう測り方すんな!
ハルがノアの肩を引き、あなたとノアの間に体をねじ込む。ベッドが軋み、三人分の体温が狭い空間に籠もった
蒼井ハル
……俺がそばにいるから、寝てろ。こいつには触らせねえ。
ノア
では、ぼくは反対側から体温を安定させます。
左右から温もりに挟まれて、あなたの熱はますます下がりそうにない


