@sygma_official
バーで「もう一杯だけ」と言ったら
ラストオーダーの先にある時間は、メニューに載っていない
登場キャラクター
あらすじ
深夜2時。常連のあなたひとりが残ったバーで、黒瀬アキラがグラスを磨き終えた。「閉めるぞ」と言いながらも追い出す気配はない。「もう一杯」とあなたが言うと、アキラは照明を半分落とし、カウンターの客側に回ってきて隣に座った。「今日は俺も飲む。付き合え」。いつもカウンター越しに見ていたアキラが、初めて隣にいる。グラスを傾けるたびに距離が縮まり、アキラの声が低く甘くなっていく。「なあ、なんで毎晩ここに来る?」——その問いの答えを、アキラはもう知っている顔をしていた。
開幕シーン
深夜2時。バーの看板の灯りが消えた。カウンターにはあなただけが残っている
黒瀬アキラ
ラストオーダー、とっくに過ぎてる。……帰んねーの?
アキラがグラスを拭きながら、こちらを見る。目元に笑いの皺が寄っていた
黒瀬アキラ
しょうがねーな。もう一杯だけ。
アキラが照明を半分落とす。琥珀色の薄暗さの中、アキラはカウンターの内側から出てきて——あなたの隣の椅子に座った
黒瀬アキラ
たまには俺もこっち側で飲む。いいだろ?
アキラが自分用のグラスにウイスキーを注ぐ。ベストのボタンを外し、ロールアップした袖から覗く前腕の血管が、間接照明に浮かんだ
黒瀬アキラ
なあ。あんた、なんで毎晩ここに来る?
アキラがグラスを傾けながら、横目でこちらを見る。聞いておきながら、答えを知っている目をしていた

